2011年5月12日木曜日

エイチツーオー梅田で売上高3000億円構想

WWDによるとエイチ・ツー・オーリテイリングが2014年度までの事業計画「GP10計画ver.3」を発表したそうです。西の商業中心地梅田への資本集中投資によって、マーケットシェアの拡大及び売り上げ3000億円を目指すとしています。また2014年度の営業利益の目標は連結で300億円だそうです。

エイチツーオーは阪急本店、阪神本店、阪急メンズあわせて梅田に売り場面積15万平方メートルを所有することになります。(東京ドーム3つ分くらいでしょうか。)広ければ良いという訳ではありませんが、改めて凄まじい大きさですね。

先日JR大阪三越伊勢丹がオープンしたばかりですが、エイチツーオーも本丸をとられる訳にはいきません。関東は自粛ムードこなくなってきたものの、まだまだ消費に元気がないので関西の盛り上がりが非常に目を惹きますね。また銀座でもリニューアルで阪急メンズ館を立ち上げたりと今年は百貨店業界で「攻め」のニュースが多いです。

新宿三越アルコット閉店

新宿の三越アルコットが2012年3月で閉店するそうです。その後はビッグカメラがオープンするという事。

三越と伊勢丹の統合後、「銀座三越リニューアル」と「JR大阪三越伊勢丹オープン」の大きなニュースが相次ぎました。新宿には伊勢丹の顔である新宿伊勢丹があるのでカニバってしまい、経営効率が悪いという事でしょうか。またアルコットオープンの時に、それまで新宿三越についていた上顧客が、新しい雰囲気に合わず高島屋等に流れて行ったという話も聞いた事があります。百貨店業界はファッション関連でも特に厳しい業態なので、こういう不必要な店舗は少しずつなくなって行くでしょう。銀座と同様に核となる商業地域の新宿ではなおさらです。

ただ後釜がビックカメラというのも少し寂しさを感じます。増えすぎた百貨店は今後もなくなって行くと思いますが、不遇の時代はいつ終わるのでしょうか。

2011年5月11日水曜日

「コトラーのマーケティング3.0 -ソーシャル・メディア時代の新法則-」を読んで

今日は「マーケティングの神様」として有名なフィリップ・コトラーの新著「コトラーのマーケティング3.0 -ソーシャル・メディア時代の新法則-」を読んだ感想を書いていこうと思います。同氏はご存知の通りマーケティング業界ではあまりにも有名で、現代マーケティングの祖と言われています。私も何冊か著作に目を通した事があり、今回も新著が出たという事で読んでみました。


内容:

コトラーはマーケティングが下記のように変化してきたと言っています。

マーケティング1.0 (製品中心、産業革命によって誕生)

   ↓
マーケティング2.0 (消費者志向、IT技術の発展によって誕生)

   ↓
マーケティング3.0 (価値主導、ニューウェーブの技術によって誕生)


ここでの「ニューウェーブの技術」とは、低コストなデバイスやインターネット及びオープンソースの事で、個人や集団が互いに繋がったり交流したりできる環境をもたらす技術のことです。(SNSなどが良い例)そして現在はまだ1.0や2.0の段階のマーケティングを行う人も多いと書いてあります。

3.0では企業は自らのコアとなる価値を、消費者のみならず従業員やチャネルパートナーとも共有しなければならず、持続可能性を包括したビジョンをアピールする必要があると述べています。

そういった前提をもとに、有名企業のケーススタディを交えつつ話が展開されていました。
最終的に3.0時代の重要条件を「10原則」としてまとめ、本が締めくくられています。



感想:

全体として良くまとまっており、ソーシャルメディアやグリーンマーケティングを知る上で分かりやすい内容です。ただ平易に纏められているため、所謂入門書的内容で物足りない気もしました。理論が矛盾している気がする部分もありましたが、次世代マーケティングのエッセンスを簡単に知るには良い本だと思います。

2011年5月9日月曜日

ソフトバンクがギルトグループへ出資

先日の中国市場に置けるソフトバンクとスタートトゥデイの合弁会社設立のニュースが記憶に新しいですが、またソフトバンクがファッションECに出資するらしいです。

今回はグラムールセールス、ブランドフォーフレンズと並ぶ招待制ファミリーセールECサイト「ギルト」を運営するギルト・グループへの出資だそうです。しかも金額は約52億円です。またギルト・グループの100パーセント子会社の日本法人であるギルト・グループ株式会社は第三者割当増資を行い、ソフトバンクとの折半出資になり、さらに合弁化されるみたいです。

ファッション業界でも数少ない成長業態の一つであるこの招待制ファミリーセールECですが、孫さんもここぞとばかりに投資していますね。ソフトバンク側からすればヤフーもあるしEC関連でシナジーも見込めるのでしょう。ギルトは世界で350万人のユーザーがいるそうですが、ラグジュアリーブランドも商品以外のサービスに尽力して行かないとますますシェアを食いつぶされていきますね。

ひとまず今後の動向に注目です。

「Understanding China's Growing Love for Luxury」感想②

前回に引き続き「Understanding China's Growing Love for Luxury」を読んでみて思った事を書いていきたいと思います。今回は第二章「Luxury unleashed」の第一節「Source of Growth」からです。ここでは中国の家庭に関して年間所得別にセグメンテーションを行い、2015年における各セグメントの予想総数と2010年の同数値を比較・分析しています。分類の仕方は下記の通りです。(単位はRMB。括弧内は100円=8.04元で計算した日本円換算の概算額。)

①1000K以上(約1243万円以上)
②300K〜1000K(約373〜1243万円)
③200K〜300K(約248〜373万円)
④100K〜200K(約124〜248万円)


このうち①、②のグループはそれぞれ年間15%、20%ずつ増えているそうです。2015年には①が約100万世帯、②が560万世帯程度まで伸びると予想されています。またこの二つのグループが中国の高級品市場の売上高におけるシェアの約7割を占めています。
継続するインフレや高級品への課税等不安要素もありますが、世界で最もホットな市場である事は数値を見る限り間違いないみたいです。

さらに④のグループは現在売上高に占めるシェアが12%程度ですが、2015年にはさらに10%程度拡大すると予想されています。日本も同じですが、このアッパーミドルクラスへの継続的アプローチも重要でしょう。







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2011年5月8日日曜日

「Understanding China's Growing Love for Luxury」感想①

このエントリーから4回に分けてマッキンゼーアンドカンパニーのレポート「Understanding China's Growing Love for Luxury」についての感想を書いていきたいと思います。2010年に出されたレポートでマッキンゼーは他にもラグジュアリーブランドに関するレポートを複数出しています。

このレポートは中国の富裕層の高級品に調査を元に、今後の中国市場の動向予想が書かれています。初回はまず第一章の「Executive Summary」からいきたいと思います。

この章は導入として過去、現在の売上金額及び将来(2015年)の売上金額予想を元に展開されていきます。所々割愛しますが、データによると1998、2010、2015年の売上金額は下記の通りです。(単位:BIllion RMB)

1998年 : 5
2010年 : 80
2015年 : 〜180(予想)


また金額のグローバルシェアは下記の様になっています。

1998年 : 1%未満
2010年 : 10%
2015年 : 20%(予想)

売上金額は2010年時点で円換算で9950億円(100円= 8.04元で計算)と非常に大きな数字となっています。世界の工場から世界の市場に変わっているという事実が如実に現れています。ラグジュアリーブランドでも「日本市場では前年割れしているが、中国市場でまかなえている為、アジア商圏全体ではプラス。」というところが非常に多いでしょう。それ程中国は魅力的な市場です。また日本国内の売上に関しても中国人ツーリストの購買金額が一定の売上を確保しているブランドもあるでしょう。そのようなブランドは、この度の震災による渡航規制でダメージを受けているかもしれません。

2015年までの消費量伸び率も2010〜2015
年で年間平均約+18%と凄まじいものがあります。このように中国市場はまだまだポテンシャルがあり、未成熟な市場である事が如実に分かります。

次回はそんな高級品消費者のセグメンテーション及び消費傾向についてみていきたいと思います。











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2011年5月7日土曜日

「世界を虜にする企業 -ZARAのマーケティング&ブランド戦略-」を読んで

ヘスス・ベガ著の「世界を虜にする企業 -ZARAのマーケティング&ブランド戦略-」を読みました。著者はヒューレットパッカードやサンタンデール銀行を経て、ZARAを運営するインディテックス社で働いていたそうです。(今現在はリテールコンサルティング会社のCEO)

この本のメインテーマは「セクシーカンパニーとはどういう企業か」という事です。著者は例としてZARAの他にApple、スターバックス、ヴァージンといった企業を挙げています。
そもそも私はこの「セクシーカンパニー」という言葉自体が初見でした。要約すると「セクシーカンパニー」=「消費者にも従業員にも魅力的な企業」といった感じです。そしてその魅力に性的な欲望(リビドー)が反応しているという話でした。

正直なところタイトルの「マーケティング&ブランド戦略」に関してあまり具体的な記述はなく、いくつかの過去のケースとエッセンスが描かれているだけでした。ちょっと残念です。恐らく著者は戦略云々ではなく、現在の社会で成功するための理念の様なものを読者に伝えたいのでしょう。

著者の考えは非常に良く伝わってきました。ただ願わくばもう少し具体的な戦略、特に世界最高といわれている生産管理体制について触れて欲しかったです。

g.u.池袋東口店

本日池袋に用事があったので、そのついでに「g.u.池袋東口店」を見てきました。小雨が降る休日でしたが、池袋は結構人が多かったと思います。震災の影響で遠出する人が減っているのか、近場で安くというのが今年の流れのようです。

話を戻してg.u.についてですが、構成はB1〜2Fがレディースで3、4Fがメンズといった感じです。フロアはそんなに大きくなく、所狭しと商品が並んでいます。価格帯はユニクロの1/2程度でしょうか。各階に特価品のコーナーがあります。
客数は雨の為もあってそれほど多くはなく、60〜80人程度でした。購入者は見た限りあまり多くなく、レジ前は閑散としていました。店内は通路が若干狭いのであまり落ち着いて買い物が出来る感じではなく、商品構成もあまり魅力がありませんでした。(廉価版ユニクロという感じそのまま)

「ユニクロで出来なかった事を」というフレーズが店頭でも強調されていましたが、あまり良く理解出来ません。値段くらいでしょうか。「安いのにそこそこ品質がいい」というのがユニクロのコアコンピタンスだと思うのですが、g.u.のそれは一体なんなのか。ファストファッションの盛り上がりも一段落した今、それをしっかり打ち出さないと競合には勝てない気がしました。

流行のメカニズム

「Harvard Business Review」の2011年4月号に「流行が起こる本当のメカニズム」という興味深い記事が掲載されていました。この号は「ソーシャル・メディア戦略論」と題され、ソーシャルメディアがビジネスにどうやって利用できるのか、またどういう企業が利用に成功しているのかという特集です。

さて話を戻して流行のメカニズムについてですが、記事を要約すると下記の様な感じです。

・一般のマーケターは、インフルエンシャル(社会的伝染を左右する一握りの存在)と呼ばれる人々が流行を作り出すと信じているが、それは間違い。

・流行が起こりうる条件は、他人から影響を受けやすいタイプの人々のクリティカル・マス(変化を発生させるのに最低限必要な人数)の存在である。

・ネットワークの中に、周囲の影響を受けやすいタイプの人々が、程よい密度と構成で分布していれば、流行の火付け役は誰でも良い。



この記事はインフルエンシャルが必要ないといっているのではなく、影響を受けやすいクリティカル・マスにアプローチする手段は、少数のインフルエンシャルに限らないという事だと思います。
ファッション業界では以前からミューズといった言葉が使われてきました。しかし現在、情報の取得手段が圧倒的に多様化しています。そんな世の中ではそういうアイコン的存在よりも、影響されやすい層にアプローチできるカリスマブロガーなんかが重要なのでしょう。
国内外問わず、カリスマブロガーがファッション業界でもてはやされるのがわかる気がします。

種火よりも薪の組み方が重要なのでしょうね。



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2011年5月5日木曜日

スマートフォン普及率

昨日のエントリーと同様、5月4日の日経MJに日本におけるスマートフォンの普及率に関する記事が掲載されていました。

数年前に日本でiPhone3Gが発売されて以降、Apple社の「iOS」を積んだiPhoneが日本市場でシェアを伸ばし続けて来ました。しかしその後、google社のOS「Android」を積んだ他者製品が発売になり、記事にあるマクロミルの調査によると、下記の割合だそうです。

iPhone : 56.8%
Android端末 : 35.2%
WindowsMobile端末 : 6.4%
その他 : 1.6%

これを見てみるとAndroid端末が着実にシェアを広げてきています。まだまだAppleのシェアがトップですが、安心は出来ない状況でしょう。ましてやスティーブ・ジョブズの健康不安もありますから尚更です。

話がそれましたが、以前のエントリーでいくつか書いたとおり、スマートフォン向けアプリケーションとECの親和性は高く、今後間違いなく重要になってきます。またブランドのイメージやコレクションフォト、デザイナーのインタビュー等様々な活用ができます。但し、皆同じ様なコンテンツでは魅力がないので、何かプラスワンが必要でしょう。

今現在はスマートフォン所有率が11.8%だそうですが、今後の伸びも考えて企業側は何かしらの策略をしっかり練らなければならないと思います。


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2011年5月4日水曜日

JR大阪三越伊勢丹

今日(5月4日)の日経MJの一面で新しくオープンする「JR大阪三越伊勢丹」の特集が組まれていました。

記事にもあるとおり大阪で確実に地位を築いている阪急と真っ向勝負の形になります。特に阪急メンズ館は東京でいうところの新宿伊勢丹的な役割を果たしています。

個人的にですが、メンズに限っていえば阪急の方が魅力的なブランドも多く、集客力もありそうです。伊勢丹はまだまだこれからといったところでしょうか。

以前厳しい百貨店業界ですが、こういう投資、しかも駅ビル効果で大きなトラフィックを見込んだ施策がどうなるのか楽しみです。

少しは明るいニュースになると良いのですが…





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2011年5月3日火曜日

ボッテガヴェネタが卸売を開始

先日のニュースによると、表題の通りボッテガヴェネタが卸売を開始するようです。既にリステアが、コレクションで主に差し色に使用されていた鮮やかなカラーの
商品を買い付けているということです。

ラグジュアリーレザークラフトブランドとして認知されているであろう同ブランドは、最近RTWのコレクションの評価も高いと思います。「レザーだけでなく、洋服も売って行きたい。それで売上を伸ばせれば。」といったところでしょうか。Dior Hommeの様な感じで洋服と皮革製品両柱で売り出して行くのが理想なのか。まだ良くわかりません。

いずれにせよセレクトショップに商品を置くというのは、メリットとデメリット両方あると思います。
メリットは今までとは違ったカスタマーの目に触れる機会が多くなる事。商品展開次第で更なる顧客層の拡大が見込めるでしょう。特にリステアはモードな雰囲気のセレクトなので、ボッテガヴェネタにもソフィスティケイティドなイメージを持つ人が増えるかもしれません。洋服からバッグへの跳ね返りも期待できます。

逆にデメリットはイメージコントロールが難しくなる事。ラグジュアリーブランドにとってストリクトなイメージコントロールは必須事項です。恐らくどのブランドでも重要視されているでしょう。品質だけでなく、その歴史やテーマが顧客を魅了する源泉になっています。セレクトショップに並べば、当然他のブランドと同じ売り場に配置され、ブランド独自の雰囲気は埋没せざるを終えません。
それらが長期的に見た時に、差し引きプラスなのかマイナスなのかは微妙なところです。

と偉そうな事を言ってしまいましたが、高級品の需要減少及び多角化が進んでいる日本で、恐らく次のステージへの一歩を踏み出そうとする雰囲気は伝わってきます。

今後の動向も注視していきたいです。







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